1601年に建立された、フエで最も古く美しい寺院です。
ティエンムー寺院を漢字で書くとティエンは「天」、ムーは「姥」を意味します。名前の由来は、広南朝までさかのぼります。太祖グエン・ホアンは国を開くためにこの地を訪れた際、村民から伝承を聞きます。
その伝説では、ある夜に赤い衣と緑色の裾を着た一人の老婆が丘の上に現れ人々に「いつかここに真の主がやって来て、霊気と龍脈をあつめ強力な国をつくるために、寺を建てるであろう。」と語ったそうです。
これを聞いたグエン・ホアンは民衆の願いを叶えることができるように、また慶事の知らせに感謝をして、フォーン川に面する丘の上に寺を建て「天姥(ティエンムー)寺」と名付けました。
この寺院では美しい景観と庭園、そして穏やかに流れるフォーン川の風景が楽しめる心地よい寺院です。ぜひ、フエの人々に親しまれているティエンムー寺へ行ってみてください。
◆ティエンムー寺院 / Chùa Thiên Mụ
住所:Nguyễn Phúc Nguyên, Hương Long, Tp. Huế
開館:常時(年中無休)
※本殿の開館は7:00~11:00 / 14:00~18:00
料金:無料
慈仁塔(トゥニャン塔)
3代ティエウチー帝が1845年に建てたもので、高さ21mある八角形七層の塔は仏教で悟りを意味する蓮を象っている。各階には仏像の坐像が安置され、過去七仏(釈迦如来までに登場した7人の仏陀)をあらわし、最上部には釈迦如来像が安置されています。
慈仁塔はフエのシンボルとして人々に親しまれており、よく土産物のモチーフにもちいられます。
六角碑亭・六角大鐘楼
慈仁塔の左右後方にあり、左が六角大鐘楼、右が六角碑亭です。鐘楼には1710年に鋳造された高さ2.5mのフエで最も大きい大鐘があります。碑亭には1715年につくられた石碑があります。どちらも広南朝6代グエン・フック・チュー王によってつくられたものです。
大雄殿(ダイフン殿)
ティエンムー寺の本堂で、三尊仏がおかれています。この仏像は1815年に鋳造されたもので、タイソン朝を破り、ザーロン帝を助けたポルトガル人のジーン・デ・ラクロイスによるものといわれています。
オースティンと不滅の心臓
ベトナムが南北に分かれていた戦争時代、フエは南ベトナムに属していました。その当時ゴ・ディン・ジェム政権はキリスト教徒が多く、仏教に対して弾圧的処置をとっていました。1963年6月11日ティエンムー寺のティック・クアン・ドック僧侶はその弾圧に抗議し、サイゴン(現ホーチミン)まで車でいき、アメリカ大使館前で自らガソリンをかぶって焼身供養を行ないました。燃え盛る炎の中で絶命まで姿勢を崩さなかった様子は国際的に衝撃を与えました。さらに副大統領夫人マダム・ヌーは、これを「僧侶のBBQ」と批判したため、国民から非難が高まり、後の軍事クーデターによってゴ・ディン・ジエムが殺害される一因となりました。
この車は、僧侶がサイゴンまで乗った車です。
また、僧侶は体が焼け落ちても心臓は形をたもったまま残り、その不滅の精神を体現したといわれています。その心臓の写真パネルも展示されているのであわせてご覧ください。
敦厚澄源和尚塔
ティエンムー寺院の高僧を祀った記念塔です。