第4代皇帝トゥドゥック帝(在位1847~83)の募陵で、謙陵と称されます。謙陵は1864年〜1867年の3年間かけてつくられたグエン王朝建築の壮麗な建物のひとつで、フエ市街から5km離れたトゥイスアン(水春)県の広大な松林の中にあります。
敷地内には大きな蓮池を中心に陵墓と寝殿(礼拝殿)が並列に配置されているほか、ほとりには池にめんして木造の榭殿があります。
ここはトゥドゥック帝の存命中に完成しており、生前の謙陵は離宮として使用されていました。帝は体をやすめに訪れ、詩文を作ったり舟遊びを楽しまれていました。別荘風の美しさを持つ謙陵は詩を愛した皇帝の浪漫かつ叙情的な風格がよく表れています。
また、謙陵内にある寝殿と御陵の50近い建築物の全部の名前に『謙』が使われています。これは在位中の1858年にフランスの植民地化のきっかけとなる侵攻を許してしまったことを恥じて謙の字を用いられたと言われています。
トゥドゥック帝には109人の正室・側室がいましたが、幼い頃に天然痘にかかった影響で実子はおらず、時代皇帝は養子に迎えた甥が即位しました。グエン朝の最盛期はトゥドック帝までの四代で、その後は衰退の道をたどります。
◆トゥドゥック帝陵 / Lăng Tự Đức
住所:Phường Thuỷ Xuân, thành phố Huế
開館時間:7:00 – 17:30(年中無休)
料金:大人 100,000VND 子供(7 - 12歳)20,000VND
⑤愈謙榭と⑦謙宮門
謙宮門和謙殿に通じる門です。愈謙榭は1992年 アカデミー外国語映画賞を受賞した「インドシナ」のロケ地のひとつになっています。
⑥冲謙榭
謙池のほとりにある冲謙榭では一日に数回伝統音楽の演奏がおこなわれます。(8:30、9:15、10:00、14:30、15:15 / 各回30分程度 / 無料)
⑧和謙殿
寝殿(礼拝堂)です。殿内にはトゥドゥック帝と皇后の位牌が祀られています。
⑪鳴謙堂
ベトナムで2番目に古い劇場です。天井には皇帝を表す「天」として星空や太陽が描かれています。現在は衣装を着て撮影(有料)するスペースになっています。
⑫碑亭
帝の功績が書かれた碑石が置かれています。通常、碑文は次代皇帝によるものですが、トゥドゥック帝は自ら書きました。5000字で書かれた文章には、フランスと協定をかわした経緯や自身に子供ができなかったこと、国が豊かになって欲しいという望みなどが書かれています。
ここの石碑は帝陵の中で一番大きく、重さ20tあります。
⑬陵墓
帝の石棺がおかれています。しかし、遺体は親族によって秘密裏に埋葬されたため、遺体はどこにあるか分かっていません。他の帝陵も同様で、カイディン帝のみ遺体の場所が判明しています。
双喜紋
この紋様は、双喜紋とよばれるもので、「喜」がふたつ並んだものをデザインしたものです。縁起物として用いられ、王宮や帝陵でよくみかけることができます。
⑯キエンフック帝陵墓
帝の甥で養子となった7代皇帝キエンフック帝(在位1883~84)の陵墓です。在位わずか半年にして崩御したため、帝陵は造られず謙陵内に陵墓が設けられました。